屋根勾配の測り方: 水平30cmで何cm下がるかを測るだけ
短い答え
屋根勾配を測るには、水平器を屋根に対して水平に構え、当てた点から30cmの位置に印を付け、その印から屋根面まで垂直に測ります。この下がりの量が勾配です:水平30cmで15cm下がれば、15 ÷ 30 × 12 = 6:12勾配、角度にすると26.6°です。
これだけのことです - 屋根勾配は「水平方向の一定距離あたりの立ち上がり」にすぎません。米国式のx:12表記は「水平12に対して垂直にいくつ上がるか」という比率なので、同じ単位で測れば単位は問いません。日本の寸勾配(水平10に対する上がり)に直すなら、寸勾配 = x ÷ 12 × 10。つまり6:12 = 5寸勾配です。
測り方は3通りあり、うち2つは屋根に登る必要がありません:
- 屋根裏で、垂木の下面に当てて測る(最も安全)。
- 屋根面の上で測る(安全に歩ける乾いた屋根に限る)。
- 妻側(切妻の三角形が見える側)から、全体の立ち上がりと水平距離で測る。
方法1 - 屋根裏で測る(屋根に登らない)
屋根材ではなく垂木そのものを測るので、最も正確な方法です:
- 屋根裏で、水平器の一端を垂木の下面に当てて水平に保ちます。
- 当てた点から30cmの位置で水平器に印を付けます。
- その印から真上に、同じ垂木の下面までの距離を測ります。
この垂直距離が勾配です。17.5cm上がっていれば 17.5 ÷ 30 × 12 = 7:12(約5.8寸勾配)です。
方法2 - 屋根面の上で測る
同じ測り方を、屋根材の上で行います:
- 斜面の中ほどで平らな場所を選びます - 棟包みの上、反った屋根材、葺き重ねの段差の縁は避けます。
- 水平器の一端を屋根面に付けて水平に保ち、30cmの位置に印を付け、印から屋根面まで垂直に測ります。
乾いていて低く、安全に歩ける屋根に限ってください。屋根裏や妻側の方法でも、地上から同じ数値が得られます。
方法3 - 妻側から測る
水平器は不要です - 代わりに屋根全体の三角形を使います:
- 全体の立ち上がりを測ります:壁の上端(軒桁の上)から棟の頂点までの垂直距離。
- 全体の水平距離を測ります:壁から棟の真下までの水平距離(左右対称の切妻なら建物幅の半分)。
- 立ち上がり ÷ 水平距離 × 12 で勾配が出ます。
棟が壁の上端から150cm上にあり、棟の真下が壁から300cm内側なら:150 ÷ 300 × 12 = 6:12です。
角度で測る場合(スマホやスピードスクエア)
スマホの傾斜計アプリや、スピードスクエア(Speed Square、勾配目盛りの付いた米国の三角定規型工具)で測ると、x:12ではなく角度(°)が得られます。勾配 = tan(角度) × 12で換算します。30°なら tan(30°) × 12 = 6.9、つまりほぼ7:12です。日本の寸勾配なら tan(角度) × 10 で、30°は約5.8寸。(下の表で3つの表記を相互に確認できます。)
勾配・角度の換算表
角度 = arctan(立ち上がり ÷ 12)、傾斜係数 = √(立ち上がり² + 12²) ÷ 12、勾配率 = 立ち上がり ÷ 12 × 100 - 計算機が実行しているのと同じ式です。傾斜係数は、水平距離に掛けると垂木の長さになり、平面図の面積に掛けると実際の屋根面積になる数値です。
| 勾配(x:12) | 寸勾配 | 角度 | 傾斜係数 | 勾配率 |
|---|---|---|---|---|
| 1:12 | 約0.8寸 | 4.8° | 1.003 | 8.3% |
| 2:12 | 約1.7寸 | 9.5° | 1.014 | 16.7% |
| 3:12 | 2.5寸 | 14.0° | 1.031 | 25.0% |
| 4:12 | 約3.3寸 | 18.4° | 1.054 | 33.3% |
| 5:12 | 約4.2寸 | 22.6° | 1.083 | 41.7% |
| 6:12 | 5寸 | 26.6° | 1.118 | 50.0% |
| 7:12 | 約5.8寸 | 30.3° | 1.158 | 58.3% |
| 8:12 | 約6.7寸 | 33.7° | 1.202 | 66.7% |
| 9:12 | 7.5寸 | 36.9° | 1.250 | 75.0% |
| 10:12 | 約8.3寸 | 39.8° | 1.302 | 83.3% |
| 12:12 | 10寸(矩勾配) | 45.0° | 1.414 | 100.0% |
勾配は、その屋根に何を葺けるかも決めます。米国IRC基準(R905.2.2)では、2:12未満(約1.7寸未満)はアスファルトシングルには緩すぎ、2:12以上4:12未満は下葺き材(ルーフィング)の二重張りが必要、4:12以上(約3.3寸以上)で標準的な施工になります。日本でも考え方は同じで、屋根材ごとに最低勾配の目安があります - 例えば粘土瓦はおおむね4寸前後以上が一般的な目安です。必ずメーカー仕様と地域の基準を確認してください。
計算例
妻側の方法で立ち上がり150cm・水平距離300cmと出て、壁から棟までの屋根の水平距離が3mだったとします:
- 勾配: 150 ÷ 300 × 12 = 6:12(5寸勾配)
- 角度: arctan(150 ÷ 300) = 26.6°
- 傾斜係数: √(150² + 300²) ÷ 300 = 1.118
- 垂木の長さ: 1.118 × 3m = 約3.35m - 軒の出と、棟側・バーズマウス(桁への切り欠き)の加工分を加える前の長さ
👉 計算を省きたいなら:屋根勾配計算機に立ち上がりと水平距離を入れると、x:12勾配・角度・傾斜係数・勾配率・垂木の長さを入力するそばから計算し、アスファルトシングルに適した勾配かどうかも表示します。(入力はインチとフィート単位です。cmは2.54で割ってインチに、mは0.3048で割ってフィートに換算してください。例:150cm ÷ 2.54 ≈ 59インチ、3m ÷ 0.3048 ≈ 9.8フィート。)
注意点
- 水平は水平に、垂直は垂直に。 傾いた屋根面に沿ってメジャーを当てると勾配が実際より緩く出て、その誤差が垂木や屋根材の数量すべてに引き継がれます。
- 測る面を一つにそろえる。 垂木下面で測った立ち上がりと屋根材表面で測った水平を混ぜないでください。面同士は平行なので、どちらか一方の面だけで測れば正しく出ます。
- 左右非対称に見える屋根は両側を測る。 招き屋根や差し掛け屋根のように、面ごとに勾配が違う屋根があります - それぞれ測ってください。
- はしごと屋根の安全を最優先に。 急勾配・濡れている・高い屋根なら、屋根裏か妻側から測ってください - 得られる数値は同じです。
関連
- 屋根勾配計算機 - 立ち上がりと水平距離から勾配・角度・傾斜係数・垂木の長さまで。
- 屋根ツール - 屋根関連ツール一式。
- 屋根勾配の読み方と、最低どれくらい必要か - 測った勾配の数値が屋根材選びに持つ意味。
- 影の長さの計算方法 - 同じ直角三角形の計算を、太陽に向けたもの。